カンガルーの由来 ― 「私は知らない」はウソだった!?
2016/03/20
子どもをお腹の袋で育てることでとても有名な「カンガルー」.
動物園へ行ったことがある方なら,一度は見たことがあるという方が多いかと思います.
ところでこの「カンガルー」という名称はどのような理由で付けられたのでしょうか?
実はこの「カンガルー」の名前の由来には,ある有名な面白い説があります.そこで,今回はその「面白い説」と絡めながら,「カンガルー」の名前の秘密を探っていこうと思います.
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「カンガルー」という名前の由来
「面白い説」の前に,まずは「本当の」カンガルーの由来を説明していこうと思います.
ジェームズ・クックのオーストラリア到達
カンガルーの由来について,後でご紹介するお話をより深く理解するために,まずは背景からご説明しましょう.
時は1700年代,当時のイギリスは自国の領土を次々と広げていました.1688年にイギリス人はすでにオーストラリア大陸に到達していましたが,まだ領有宣言は行われていない状態でした.そこで1776年,イギリス政府は,「キャプテン・クック」の名前で有名なイギリス人海軍士官 ジェームズ・クックを船長とした船をオーストラリアに向かわせ,領有宣言を行います.(こうして,オーストラリアはイギリスの領土となりました.)
アボリジニとの接触と「カンガルー」
オーストラリアの東海岸に到達したクックは,海岸線にそって船を動かしながら測量を行いました.しかし,ある時船が陸に乗り上げ大破してしまいました.この船の修理には7週間を要した為,クックとその部下たちは近辺の探索を行い,現地の住民である「アボリジニ」たちと接触します.
そして探索の間,クックたちイギリス人は初めて,おなかの袋で子供を育てる謎の生物を発見するのです.カンガルーを発見したクックたちは,現地民アボリジニたちに「あの動物は何と言うのだ?」と尋ねたところ,アボリジニたちは「あれはgangurru(ガングルー)だ」と答えました.
gangurruは現地語で「飛び跳ねるもの」という意味で,アボリジニたちはカンガルーをこのように呼んでいたので,それがそのまま英語の「kangaroo(カンガルー)」に変化したわけです.
「カンガルー」と「私はわからない」
さて,前章で,「カンガルー」の本当の由来をご説明したわけですが,この話のほかにもう一つ,面白い俗説があります.せっかくなのでご紹介しましょう
(非常に有名なお話で,教科書にも載っていたことがあるそうなので,ご存知の方も多いかもしれません.)
1766年,クックたちはオーストラリア大陸に到達したものの,船が陸に乗り上げ大破してしまったので,島の探索を行うことにした.
しばらく行くと,クック一行は現地住民であるアボリジニたちと出会ったので,探索に同行させたのだった.当時からカンガルーはオーストラリア固有の生物であり,クックたちイギリス人はカンガルーを見たことがなかった.そして,おなかの中に子供を入れて,オーストラリアの大地を飛び跳ねるその奇妙な動物に興味を持った.
クックは思わず同行しているアボリジニに「あの動物は何というのだ?」と英語で尋ねた.
アボリジニはしばらく考え,「(外国語であの動物のことを何といっていいのか)わからない」と現地語で返しました.
現地語で「わからない」は「カンガルー」と発音しました.そのため,クックは「おおそうか,あの動物はカンガルーと言うのか」と勘違いをし,そのままそれを英単語にしてしまったのだ・・・!
この話は「勘違いが英単語になってしまった!!」という面白さはあるのですが,実は全く根拠がなく,誰かがジョークとして話したものが広まってしまった可能性が高いそうです.ウーーム....なんか残念です.
最後に
いかがでしたか?
実は私も「カンガルー」=「わからない」という俗説の方を聞いたことがあり,それを信じてしまっていたので,「カンガルー」自体に「跳躍するもの」という意味があるという話を聞いたときには驚きました.
全く言葉が通じない者同士で会話を行ったであろうことから,そうした勘違いがあってもおかしくない,と思ってしまうのがこの俗説の面白いところですね.
調べ事をすると,たまにこうやって今までの思い違いを正されることがあるので面白いものです.皆さんもこれを機に雑学,やってみませんか?