「コンサート」の意味 ~ 語源と由来は?
2016/04/08
「音楽の演奏会」という意味合いで使われる「コンサート」という言葉.
カタカナで「コンサート」と書くことから,外来語なのは間違いないのですが,もともとの言語ではどういう意味を持っていたのでしょうか?
そもそも,コンサートは何語由来なのでしょうか?
今回はとても身近にありながらも,あまり語源が知られていないこの言葉の秘密に迫ります!
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「コンサート」は英語由来なのか?
実際のところ,日本に「コンサート」という言葉は英語の「concert」由来です.
英語の「concert」は「音楽会」,「協力・調和」という意味を持つ単語です.しかし,このconcertという英語も他の言語から英語に入ってきた言葉なのです.
concertの語源
さて,それでは英語のconcertは何語からできた言葉なのでしょうか? それはズバリ,「ラテン語」です.
ラテン語のconcertareという単語は「競い合う」という意味があり,これがconcertの由来だと言われているのです.
ラテン語はかつてのヨーロッパからアフリカの北部までを支配した古代ローマ帝国の言語でした.
しかしそれだけ領土が広いと,地域ごとの方言もずいぶん変わったものになります.そのようなラテン語の方言が長い間使われ続けるうちに徐々に変化をし,「イタリア語」,「ルーマニア語」,「フランス語」,「スペイン語」などの言語になったのです.
そして,これらの地域のほど近い場所で話されていた大昔のドイツ語やオランダ語,英語などの言語にも,ラテン語は大きな影響を及ぼします.
いろんな国の「コンサート」
さて,大昔のラテン語が現在の多くの言語に影響を及ぼしたことはご説明しました.
すると,こうも考えられますよね? つまり「ラテン語を祖先とする言語には全部『conert』みたいな単語があるはず」と.
実はこの考え方,正しいのです.
ラテン語を祖先とする言語として,先ほど「イタリア語」,「ルーマニア語」,「フランス語」,「スペイン語」を挙げました.
これらの言語にはすべて「コンサート」のような単語があるのです.( )内は発音を表します.
- イタリア語では「concerto」(コンチェルト)
- ルーマニア語では「concert」(コンチェルト)
- フランス語では「concert」(コンセール)
- スペイン語では「concierto」(コンシエルト)
発音は国によって異なるものの,綴りはほとんど同じです.そして,このように多くの言語に「concert」の語源となる言葉ができると,ラテン語の子孫ではない言語にもこれらの言葉が入っていきます.
例えばラテン語の子孫ではない言語としては「オランダ語」や「ドイツ語」そして「英語」があり,これら3つの言語は大昔兄弟のような関係だったと言われていますが,「concert」のような単語がないか探してみると
- オランダ語では「concert」(コンセルト)
- ドイツ語では「Konzert」(コンツェルト)
- 英語では「concert」(コンサート)
と,やはりあるのです.
つまり,
ラテン語で「concertare」という単語ができる
↓ラテン語の子孫であるイタリア語やフランス語にも「concerto」や「concert」という単語ができる
↓
ラテン語の子孫ではないドイツ語や古代の英語にも「Konzert」や「concert」という単語ができる
↓
英語の「concert」が日本に伝わって「コンサート」になった.
というわけです.
ちなみに,音楽用語としては「コンチェルト」という単語が日本に入ってきていたりもするので,各地のconcertの意味に合わせて,少しずつ意味の使い分けはされているようです.
最後に
言語の壁を越えて入ってきた言葉はかなりたくさんありますが,ここまで世界各地の言語に,同じ単語があるというのは面白いですね.
また,日本は比較的入ってきた単語を元の言語の読みでカタカナ化する傾向があると思うので,英語の「concert」よりもドイツ語の「Konzert」などが先に日本に入ってきていたら「コンサート」ではなく「コンツェルト」という読みが広がっていたかも,と思うともっと面白いですね.
皆さんがよく使うカタカナ言葉は何語由来でしょうか?