「水無月」の由来 ― なんで6月のお菓子なの?
2016/04/03
6月と言えば毎日のように雨が降ってジメジメするいや~な季節です.
しかし,そんな6月にもいいものはあります.
そう,京都などで6月30日によく食べられるお菓子「水無月(みなづき)」です.
「水無月」とはもともと「6月」のことで,6月によく食べられることからこのお菓子は「水無月」と呼ばれるようになったと言われています.
しかし,そもそもなぜ6月のことを「水無月」と言うのでしょうか? そして,なぜ水無月は6月に食べられるのでしょうか?
今回はこのお菓子の秘密に迫りたいと思います!
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梅雨なのになぜ「水が無い」と書いて水無月なのか
さて,「水無月」はそもそも「6月」という意味であることは先に書きました.
しかし,6月と言えば「梅雨」. 毎日毎日雨が降っているわけでして,「水が無い」と書くのはいささか違和感を覚えます.
どういうことなのでしょうか?
実は水無月の「無」は「ない(=存在しない)」という意味ではないのです.
この「な」は古い日本語の「な」であり,現在の「~の」と同じ意味を表します.
すなわち,「水な月」は現在の日本語で「水の月」という意味になるのです.
しかし,この「水の月」を「雨が降りまくるから水の月」と決めつけるのはちょっと早すぎます.
なぜかと言うと,このような古い起源をもつ言葉における「月」は現在のカレンダーに基づくものではなく,「旧暦」によるものだからです.
つまり旧暦の6月,すなわち現在の6月下旬から8月上旬の頃を考えなければなりません.しかしご存じのとおり,この頃にはすでに梅雨は終わっています.
どのあたりが「水の月」なのでしょうか?
ズバリ,それは「田んぼ」です!
ちょうど7月頃まで田んぼでは「中干し」といって田んぼの水を一度抜くのですが,旧暦6月頃になると再び水を田んぼに引くため「水の月」となったと考えられます.(諸説あるので,他の説を調べてみても面白いかもしれませんよ)
なぜ6月30日に「水無月」を食べるのか
6月のことを「水無月」という理由はわかりました. しかし,そもそも現在「水無月」と呼ばれているお菓子が6月に食べられる理由がわかりません.
この章では,水無月を6月に食べる理由をご説明しましょう.
夏越の祓
6月と言えば,ちょうど1年の半分が終わる月です.
日本では昔から,この1年の半分が過ぎ去る時期に合わせて「夏越の祓(なごしのはらえ)」と呼ばれる行事がありました.
この行事では,半年間の穢れを祓い,これからの半年間も健康でいられるようにお祈りをするのです.
そして,大昔の日本の宮中ではこの時期,夏痩せしないようにと「氷」が食べられていたのです.
しかし冷凍庫がない時代,庶民にとって氷がいかに手に入れにくいものかは,考えなくてもわかります. そこで庶民は宮中でふるまわれる氷の破片に似せたお菓子を作ろうと考え「水無月」が誕生したのです.
水無月が必ず三角形をしているのは,この「氷の破片」をイメージしているからであると言われています.
小豆を使う理由
半年分の穢れをお祓いする,といいました.
古くから日本では,「小豆には悪魔を払う力がある」と信じられていたため,水無月には小豆が使われていると言われています.
最後に
現在から見たら「水無月」から「氷」を連想することはありませんが,昔の人は「氷がないから形だけでも似せよう」と考えた,と思うととても面白いですね!
それに「水無月が必ず3角形をしている」なんてこと,言われなければ気づかないことのようにも思えます.
調べ事をすると,とても意外な視点から物事を見れるようになって面白いですね.